動物愛護センター取材録

東京都動物愛護相談センター世田谷本所取材録

2005年6月15日に東京都動物愛護相談センター世田谷本所に取材に行きました。
今回は特にセンターの犬の譲渡事業について詳しい話を聞いてきましたので施設の様子と合わせて報告します。

東京都動物愛護相談センター世田谷本所

センターではどのような活動をしているのでしょうか?
「人と動物の共生をめざして」には次のような事が書かれています。

業務内容

●動物愛護の精神と適正飼養の普及啓発

都民の皆様の間に、動物を愛護する気風を育て、生命の尊重や友愛などの情操についてより深く理解してもらうために、次の仕事を行っています。

動物教室 動物とのふれあいを通して、命の大切さや動物との正しい接し方、動物による危害の防止及び衛生管理に関する普及啓発
イベントへの参加 動物愛護週間(9月20~26日)の間に開かれる中央行事などのイベントに参加し、「動物ふれあい教室」や「動物なんでも相談室などを行っています。
犬のしつけ方教室 模範的な飼主になっていただくため、「犬のしつけ方教室」などを始めとする講習会を定期的に開催しています。
●動物の保護と管理

動物を保護するとともに、動物による人への危害を防止し、良好な生活環境を確保するために、次の仕事を行っています。

  • 飼主不明負傷動物の保護収容、治療   ※対象動物は犬、ねこ、うさぎ、にわとり、あひるです。
  • 飼主不明の犬の保護収容
  • 犬、猫の引き取り
  • 収容動物の管理
  • 犬、猫等の返還
  • 犬、猫等の譲渡
  • 動物取扱業の登録と監視指導
  • 動物取り扱主任者の登録等
  • 特定動物の飼養許可と監視指導
  • 畜舎等の監視指導
●人と動物との共通感染症の予防、調査、措置

人から動物へ、動物から人へ感染するおそれがある病気について、予防及び調査研究、及び発生時の必要な処置を行っています。
狂犬病、ブルセラ症、サルモネラ症、オウム病、Q熱、トキソプラズマ症、回虫幼虫移行症、クリプトコックス症、エキノコックス症など

施設の場所

センター本所・・・世田谷区
城南島出張所・・・大田区
多摩支所・・・日野市
以前は都内に他に2施設あったのですが今は本所・出張所・多摩支所のみになったそうです。

施設内の様子 この日は雨でした。
東京都動物愛護相談センター世田谷本所の様子写真
写真左:ふれあい犬の運動場  写真中央:慰霊碑 写真右:スライドを使った施設・事業説明

収容施設内(犬)

東京都動物愛護相談センター世田谷本所の収容施設内写真1
写真左:咬傷犬と書かれた札が付いている  写真中央:各種注意書きの札 写真右:個室

東京都動物愛護相談センター世田谷本所の収容施設内写真2
写真左:迷子の犬を探す為に飼主が書いたチラシ  写真中央:収容の情報板 写真右:小型犬の個室

東京都動物愛護相談センター世田谷本所の収容施設内写真3
ほとんどはボランティア団体に譲渡される大部屋、他の部屋は雌雄別、相性別で管理している。(部屋の並びと保護日は異なる)

東京都動物愛護相談センター世田谷本所の収容施設内写真4
写真左:怪我をした犬  写真中央:治療室・・・怪我をした動物達が治療を受けます

事業別動物取扱状況

平成15年度収容状況
収容状況 合計 引取り 保護・収容 負傷動物
収容
野犬駆除 狂犬病
検査依頼
小計 所有者から 拾得者から
合計 14,801 12,034 1,784 10,250 1,971 796 0 0
小計 3,537 1,458 411 1,047 1,971 108 0 0
成犬 3,451 1,409 396 1,013 1,935 107 0 0
子犬 86 49 15 34 36 1 0 0
小計 11,245 10,576 1,373 9,203 669
成猫 1,218 615 579 36 603
子猫 10,027 9,961 794 9,167 66
うさぎ等 19 19
平成15年度収容状況
処分状況 合計 返還 譲渡 健康安全
研究センター
検体送付
致死処分 終末処理
小計 来所 現地
合計 14,805 2,273 1,130 1,143 695 0 11,837 11,833
3,544 2,263 1,120 1,143 513 0 768 768
11,243 9 9 0 179 11,055 11,051
うさぎ等 18 1 1 0 3 14 14

収容状況の計及び処分状況の計は、前年度からの繰り入れ、翌年度への繰り越し頭数があるため合致しません。

見動物取り扱い頭数の推移

年度 55年 60年 元年 5年 10年 12年 13年 14年 15年
総取扱数 62,815 58,762 36,612 23,315 18,706 17,182 15,625 14,264 14,801
成犬 13,396 12,387 8,428 5,869 5,120 4,989 4,161 3,760 3,451
子犬 9,683 10,552 5,116 1,661 473 286 171 111 86
成猫 4,979 4,274 2,358 1,556 1,349 1,437 1,399 1,300 1,218
子猫 34,745 31,569 20,683 14,151 11,734 10,451 9,856 9,077 10,027
うさぎ等 12 7 27 78 30 19 38 16 19
保護期間

7開庁日経過後、城南島出張所で致死処分を行います。
ただし、譲渡適正があると判断された犬はこの期間以上保護することもあります。

譲渡の主な条件
  • 東京都在住
  • 住宅環境の提示
  • 住宅環境の規約
  • 終生飼育
  • 繁殖制限の徹底
  • 家族全員の了承
  • 3度の講習会を受講(譲渡前、譲渡時、譲渡後(しつけ教室))
譲渡率

見学の際のイメージとして、小型犬は、性格的な適正の不良を除いて譲渡率が高そうな感じでした。

保護期間が過ぎ致死処分される犬の数は平成15年度では768頭でした。
この数字は昭和55年から比べるとかなり少なくなりました。また、他の道府県に比べても少ないです。

取材に行って

致死処分される犬は更に減らせるのか?

譲渡は、健康面性格面で適正がある犬を候補として行われます。
私の疑問は、致死処分になった768頭が全て適正が無い犬ばかりだったのかという事です。

つまり、下記のどちらの状態になっているのか?
里親希望者がいるが、適正のある犬がいない(768頭の中に適正のある犬がいない状態)
適正のある犬達が、新しい飼主さんを待っている(新しい飼主さんが足りない状態)

職員の方に以上の質問をしたところ、統計は取っていないが新しい飼主が現れずに致死処分になるケースもあるとの事でした。
つまり、この致死処分を受けた768頭は、まだまだ減らす事が出来る(新しい飼主さえいれば)ということです。

このページを作った理由

身寄りの無い犬を飼う事も幾つかある選択肢の一つに入れてもらえる事を願ってこのページを作りました。
犬を飼う飼主さんの選択肢には、お店やブリーダーから購入する、と思われている方が殆どだと思います。
様々な犬種の、子犬がいるペットショップやブリーダーから犬を、購入する事も楽しく良い事だと思います。
可愛い子犬を、小さいうちから育てたいと思う気持ちは、とても素晴しいです。

犬の主な購入(譲渡)方法
  • ペットショップ
  • ブリーダー
  • ご近所や知人の犬が生んだ子を貰う
  • 保護されている犬を貰う

保護されている犬を貰うという手段もあるということを知ってもらいたかったのです。
そうする事で、人のエゴで消え行く命を救う事にもつながるのです・・・

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